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【韓国】監査院の事前コンサルティング、民間企業にも活用の道が開かれる

  • ニュースレター
  • 2026.09.10

2026年、監査院の事前コンサルティング制度は、かつてない転換点を迎えています。2026年5月、コンサルティングの申請資格が411の民間非営利法人(協会・連合会等)に大幅に拡大され、同年上半期の申請件数は前年同期比2.8倍(34件から95件)に急増しました。もはや事前コンサルティングは、公職社会における「積極行政のセーフガード」にとどまらず、民間企業が許認可の遅延、法令解釈の矛盾、規制の空白等の行政リスクを事前に解消するための実効的な制度的手段へと進化しつつあります。本ニュースレターでは、本制度の主な内容及び直近の変化、並びに企業及び公共機関が本制度を戦略的に活用するための方策についてご説明します。

 


1. 背景及び概要:どのような制度か

2. 2026年の主な変化:民間への対象拡大及びファストトラックの導入

3. 主な事例:監査院が2026年に公表した事例

4. 実務上の留意点


 

1. 背景及び概要:どのような制度か

 

監査院の事前コンサルティング制度とは、法令又は規制の不確実性、先例の不存在、事後監査に対する負担等により、公共機関が積極的な判断を行うことが困難な場合に、事前に監査院の意見を求めた上で業務を処理し、事後監査における責任の免除を受けることのできる制度です。

 

本制度は、2018年12月に中央行政機関及び広域自治体等の83機関を対象として初めて施行され、その後、2022年4月には対象が公共機関及び基礎自治体にまで拡大され、合計651機関が申請資格を有することとなりました。さらに、2026年5月4日からは、申請主体が、従来の中央行政機関、地方自治体及び公共機関を中心とする範囲から、大韓商工会議所、電気工事協会、環境影響評価協会等の411の非営利法人(協会・連合会等)にまで拡大されました。これにより、申請資格を有する機関は、従来の651機関から合計1,062機関に増加しました。

 

本制度の法的根拠は、「監査院監査事務処理規則」第36条第2項にあり、コンサルティングにおいて示された意見に従って業務を処理した場合には、特別な事情がない限り、免責基準を満たすものと推定されます。

 

事前コンサルティングの主な申請対象は、以下の通りです。

 

許可・認可・登録などの申請がなされたとき、機関が自ら判断することが困難な場合

 

規制関連法令などの解釈が不明確であり、個別事案への適用が困難な場合

 

法令・規定・先例などが存在しないことなどにより、意思決定そのものが困難な場合

 

但し、① 既に訴訟・行政審判・捜査・監査院による監査が進行中である事案又は確定済みの事案、② 既に行われた処分の違法性若しくは不当性の有無を確認しようとする事案、③ 単なる苦情の解消又は消極行政若しくは責任回避の手段として利用しようとする事案などは、申請対象から除外されます。

 

 

2. 2026年の主な変化:民間への対象拡大及びファストトラックの導入

 

ア. 申請資格を民間非営利法人にまで拡大

 

非営利法人に申請資格が拡大されたことにより、今後、個々の民間企業も、自社が所属する協会又は連合会等を通じて、監査院に事前コンサルティングを申請できるようになりました。例えば、公共機関による許認可が遅延している場合、法令解釈が矛盾している場合、又は規定上の空白が生じている場合、従来は、企業がその不利益を甘受するか、行政訴訟という迂回的な手段を選択せざるを得ませんでした。今後は、企業が所属する協会等が各企業の規制上の問題点を取りまとめ、検討した上で監査院に事前コンサルティングを申請することにより、従来は解決が容易でなかった許認可の遅延又は法令解釈上の不確実性について、新たな解決手段を模索できるようになります。

 

イ. ファストトラック(Fast Track) 及び迅速対応チームの導入

 

事前コンサルティングに対する需要の増加を受け、監査院は、以下のとおり処理の迅速化を図るための方策を導入しました。

 

 

また、2026年8月14日には、国務総理及び監査院長が、積極行政支援制度の実効性を高める方策について協議する場が設けられ、政府レベルで事前コンサルティングを活性化する方針が公式に再確認されました。監査院の監査方針そのものが、事後的な摘発及び責任追及を中心とするものから、事前の予防及び問題解決を中心とするものへと転換していることを象徴的に示しています。

 

 

3. 主な事例:監査院が2026年に公表した事例

 

ア. 半導体産業団地への統合用水供給に関する許認可

 

半導体産業団地への用水を供給する目的で、国家河川(国が指定・管理する重要河川)の区域内に工業用水管を縦断方向に埋設することについて、河川占用許可を行うことができるかが争点となった事案です。道路区域については、関係機関が許可しない旨の意見を示していたこと等から、他に代替手段がない状況にありました。監査院は、河川占用許可に関する詳細基準及び関係機関との協議内容を総合的に検討し、関連基準を満たす管路埋設計画を策定することを条件として、河川占用許可を行うことができるとの意見を示しました。国家経済に重大な影響を及ぼす公益事業であることを認め、官庁が必要な処分を行うことができるよう途を開いた事例です。

 

イ. 風力発電団地への進入路の共同使用許可

 

新たな風力発電団地の事業者が、近隣の既存風力発電団地に設けられた国有林内の進入路を共同で使用することを希望したものの、共同使用許可に関する明示的な根拠規定が存在しなかったため、許可の可否が争点となった事案です。監査院は、国有財産の使用許可は国の裁量行為であり、独占的な使用のみを前提とするものではないと判断しました。また、新たに進入路を設置する場合には、森林の毀損(約8ヘクタール、松約2,000本)及び約150億ウォンの工事費増加が避けられないこと等を総合的に考慮し、共同使用を許可することができるとの意見を示しました。

 

ウ.漁業被害補償に関する紛争の終結を勧告した事例

 

公共機関が、統営(トンヨン)の生産基地における残留塩素による漁業被害に関し、法律上の被害再調査手続に代えて、その調査費用の範囲内で示談金を発展基金の名目で支払い、長期にわたる紛争を一括して終結させる方策について、免責が認められるかを照会した事案です。監査院は、大法院の判例によれば、当事者間の示談は法定基準に従ったものでなくても有効であることに加え、次亜塩素酸ナトリウム処理設備の再稼働による追加被害のおそれ及び長期にわたる紛争による行政力の浪費等を考慮すると、示談によって紛争を早期に終結させることは公益上妥当であると判断しました。

 

 

4. 実務上の留意点

 

監査院の事前コンサルティング制度は、もはや公職社会における消極行政を解消するための手段にとどまらず、民間企業の行政リスク管理戦略における重要な手段へと進化しています。今回の制度拡大に関連して、企業及び公共機関が留意すべき実務上のポイントは、以下のとおりです。

 

第一に、協会又は連合会等を通じた事前コンサルティングの活用戦略を策定する必要があります。

 

民間企業が監査院に対して事前コンサルティングを直接申請することはできませんが、所属する協会又は連合会等を通じて、実質的にこれと同等の効果を得ることができるようになりました。開発事業、公共調達、民間投資事業、環境・エネルギー、租税・負担金、建設・不動産、データセンター等の多様な産業分野において、許認可の遅延又は法令解釈の矛盾により困難を抱えている企業は、本制度を活用できる可能性について積極的に検討する必要があります。

 

第二に、事前コンサルティングを申請するタイミングが重要です。

 

事前コンサルティングは、既に処分が行われた事案又は捜査、訴訟若しくは監査が進行中の事案には適用されません。したがって、許認可の申請又は契約の締結等の重要な行政手続を控え、法令解釈の不確実性が認識された場合には、問題が顕在化する前の段階で申請を検討する必要があります。事後的な紛争又は監査への対応と比較して、事前に意見を得ておくことが、時間及び費用の両面で圧倒的に有利です。

 

第三に、申請書の作成及び法理検討に関する専門性が結果を左右します。

 

監査院の事前コンサルティングの効果は、申請戦略及び申請書の完成度に大きく左右されます。事案の法的争点を正確に特定し、関連法令、事実関係及び検討意見を体系的に示すことが、コンサルティングにおいて肯定的な意見を得る可能性を高める重要な要素となります。単に法令の有権解釈を求める場合とは異なり、監査院が「積極行政に合致するか」を判断できるよう論理的に構成された申請を行う必要があります。

 

第四に、事前コンサルティング後の後続措置についても、徹底した管理が必要です。

 

監査院のコンサルティング意見が示された後も、その意見を正確に反映して業務を処理することが、免責の効果を確実に得るための条件となります。コンサルティング意見と実際の業務処理との間に齟齬が生じないよう、その後の対応を徹底して管理する必要があります。

 

 

法務法人(有限)和友は、監査院の積極行政免責制度及び事前コンサルティング制度の設計及び施行に携わったソン・チャンドン元監査委員をはじめ、監査院積極行政支援諮問委員会の委員を現に務めるチョン・ウォン弁護士、政府機関において監査・監督業務に直接従事したキム・グノ弁護士等、事前コンサルティング及び行政規制の分野において豊富な経験を有する専門家が所属しています。

 

監査院への事前コンサルティングに関する申請戦略の策定、申請書及び法理検討書の作成、協会等を通じた申請手続の支援、監査院の意見の受領後の履行に関する助言、並びに事後の監査、行政審判及び行政訴訟への対応に至るまで、全ての過程において最適なリーガルサービスを提供しております。ご不明な点がございましたら、いつでもお問い合わせください。

 

 

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